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平成29年度 総務委員会行政視察報告

期日

平成29年10月13日(水曜日)~15日(金曜日)

視察委員

井手畑隆政(委員長),谷惠介(副委員長),檜垣美良, 久保東,神田隆彦,中田光政,森本茂樹

視察都市

月   日視 察 先調 査 事 項
 

10月13日(水曜日)

埼玉県桶川市

歴史的建造物の保存活用について

10月14日(木曜日)

栃木県小山市

市中心部のにぎわい創出について
まちの駅について

10月15日(金曜日)

福島県福島市

空きビル再生について

視察目的

 市は,大和ミュージアムなどが立地する宝町エリアへ来訪する観光客を市中心部などに回遊させるため,基本計画の策定を進めている。
 市中心部の回遊性向上は新たなにぎわいを生み,観光客の滞在時間延長のみならず,市民の消費拡大,ひいては呉市経済の底上げが期待できることから,当委員会においても「市中心部の回遊性向上」を所管事務調査項目に選定し,市の計画策定と並行して調査研究を進めているところである。
 このたびは,回遊の拠点となり得る海上自衛隊呉集会所や呉駅周辺の整備などに係る議論を深めるため,歴史的建造物の保存活用を初め,駅周辺の整備,空きビルの再生などについて,先進事例を調査した。

埼玉県桶川市

(1)調査内容

 熊谷陸軍飛行学校桶川分教場は,昭和12年6月に設置された航空兵の教育施設で,戦後は海外からの引き揚げ者等のための市営住宅(通称:若宮寮)として利用されていたが,平成19年3月に最後の入居者が転出し,役目を終えた。
 当該土地は国有地であったため,市は,建物を解体して国に返還することとしていたが,平成21年に,保存を求めて1万 4,000筆を超える署名を付した要望書が提出されたことで方針転換し,平成22年1月に当該土地を国から取得し,建物を保存活用することに決定した。
 土地の取得に当たり,国から利活用に係る条件などが付されることはなかった。
 また,取得費の 3,420万円は全て一般財源で賄い,国との協議で7年間の延納払いとしている。
 平成26年に整備に係る基本計画を策定し,(1)歴史的な価値の保存継承を図る,(2)平和を考える場として活用を図る,(3)広域的な観光ルートを視野に入れたテーマ性の高い立ち寄り観光拠点とする,(4)地域で利活用ができる施設とするという,四つの整備方針を定め,平成28年2月には市有形文化財(建造物)に指定された。
 なお,調査の結果,建物の老朽化が著しいため,完全に解体した後,解体部材を利用して復元することになった。
 活用の方策については,学識経験者や関連団体の代表者等を構成員とする検討委員会を設置し,7回の検討委員会とパブリックコメントを経て,平成29年8月に保存計画を策定している。
 また,保存活用に係る財源に充てるため,ふるさと納税制度を活用して寄附を募り,整備管理基金に積み立てている。

(2)質疑応答

 保存を求める署名活動の状況や,解体するという当初の方針から保存へと転換した経緯について質疑を行ったほか,文化財に指定された建造物を観光にどう活用していくのか,市民の意見をどう把握したのか,また,どのような財源を活用するのかといった質疑を行った。

(3)呉市での展開の可能性

 記念碑の設置や小型模型を展示するなど,遺構を記録として保存するという当初の方針を,市民の要望を受けて転換したことは,注目すべき点である。
 また,整備に係る方針決定や計画策定の際には,パブリックコメントや学識経験者の意見聴取を実施しており,呉市においても,青山クラブの活用方針決定については,市の考えのみで進めるのではなく,幅広く意見を聞くことが必要なのではないか。
 加えて,しっかりとした整備方針を定めていることも参考にすべき点である。
 また,保存活用の財源として基金を設立し,ふるさと納税制度を活用して寄附を集めるという手法は,市内外の関心を集めるという点においても有効である。
 市として価値がある歴史的遺構は,多額の費用がかかっても保存するという姿勢は,大いに参考にすべきである。

栃木県小山市

(1)調査内容

ア.市中心部のにぎわい創出について

【小山駅中央自由通路整備事業】
 新たに整備された小山駅東口と,かつて中心市街地としてにぎわっていた西口をつなぐため,平成24年に小山駅中央自由通路を整備している。
 自由通路の整備により,長きにわたって鉄道により分断されていた駅東西の市街地が一体化され,新たなにぎわいが生まれた。また,市民の強い要望により,自転車による通行を可能にしたことで,回遊性と利便性が飛躍的に向上している。
 平成17年にJR東日本との協議を開始したが,自転車の乗り入れや改札口の場所などに係る合意に時間がかかり,完成まで7年を要している。
 総事業費は約30.1億円で,小山市が28.8億円,JR東日本が 1.3億円を負担している。

【街なか居住推進事業】
 小山駅西地区はまとまった土地が少なく,マンションなど都市型住宅の供給が不足しているため,駅前でありながら小山市で最も過疎化が進んでいたが,東北新幹線の開通により,東京まで約40分で行けるようになったことを機に,若者世代の定住人口増加を目指している。
 街なか居住推進事業は,小山駅西地区の老朽化した建物や狭小な土地を集約し,共同住宅の建設を推進する事業であり,リーディングプロジェクトとして,平成25年に市有地を活用し,マンションを中心とした再開発ビルを建設している。
 また,再開発事業を進めるための支援として,3名以上の地権者が土地を集約することを前提に,共同化事業推進アドバイザーの派遣や,基本計画検討のための補助金を交付するほか,共同住宅建設に係る補助金と共同住宅建設のために土地を提供した地権者に対する奨励金の交付制度を設けている。

イ.まちの駅について

 かつて中心市街地としてにぎわっていた小山駅西口の活性化を図るため,歴史的回遊拠点,小山ブランドの発信,観光情報発信の場として,まちの駅「思季彩館」を設置している。
 まちの駅「思季彩館」は,地元商店街からの要望を受け,宿場町の面影を残す古い建造物を活用し,運営は指定管理者として観光協会が行っている。
 店内には,地元の農産物や食品などが並び,観光客のほか,多くの市民が利用している。
 また,市民向けの文化教室などが開催されており,地域の交流活動拠点としても活用されている。

(2)質疑応答

 小山駅中央自由通路整備について,JR東日本との協議の際に問題となった点や,整備に当たってJR側から出された条件,東口と西口の回遊状況などについて質疑を行った。
 また,街なか居住推進事業について,進捗状況やニーズなどについて質疑を行い,まちの駅については現地に出向き,設置の経緯や指定管理の状況,販売品目などについて質疑を行った。

(3)呉市での展開の可能性

 呉駅も鉄道によって南北に分断されており,自由通路を設けることで,宝町エリアを訪れる多くの観光客を呉駅前や中央地区に回遊させることが期待できる。
 また,JR側が自転車通行について難色を示し,協議に時間を要したということだが,市職員の粘り強い交渉の結果,最終的に合意を得ており,呉市においても,そういった強い思いを持って臨む姿勢は参考にすべきである。
 街なか居住推進事業は小規模な再開発事業を誘導する施策であり,再開発事業は都市計画の観点からもっと大きな面として進めるべきであるという考えもあるが,老朽化した建物や狭小な土地を集約して活用するという手法は,空き家や空き地が増加している呉市においても大いに参考になる。
 また,再開発事業を誘導するため,行政主導の勉強会を実施して地権者に将来像と具体的な道筋を示しており,施策推進のために市が積極的にかかわるという姿勢は,呉市においても必要である。
 まちの駅は,来訪者にトイレや休憩場所を提供するほか,さまざまな情報発信を行う拠点施設であり,地産の作物や地酒が一堂に会するまちの駅を整備すれば,観光客だけでなく市民の利用も期待できる。
 また,中通の空き店舗や青山クラブを活用すれば,回遊拠点としてだけではなく,地域のにぎわいづくりにも有効である。

福島県福島市

(1)調査内容

ア.空きビル再生について

【MAXふくしま】
 地上5階建ての当該施設は,平成17年にメインテナントの百貨店が撤退したため,5階の映画館を残して空きビルとなった。
 その後,福島市は,第3セクターの福島まちづくりセンター,商工会議所と空きビル再生に向けて協議を重ね,公共施設(アオウゼ)を併設した商業施設として,平成22年にリニューアルオープンした。
 アオウゼ整備については,10回にわたって市民と検討会を行い,多目的ホールや講座室のほか, 148名収容の自習・閲覧スペースを設けている。結果,さまざまな世代の市民に利用され,リニューアル後は百貨店が閉店する前よりもにぎわいが増加した。また,隣接する大型駐車場を2時間まで無料にしたことも,来客数の増加に寄与しているとのことである。
 土地と建物は,福島まちづくりセンターが全て買い取り,改修を行った上で,福島市及びテナントに賃貸している。テナントの選定は,大手商業施設は撤退の恐れが大きいことから,地元企業に絞って誘致交渉を行っている。
 なお,土地建物の取得及び改修については,福島まちづくりセンターに対し,福島市が国土交通省の暮らし・にぎわい再生事業補助金を活用して補助を行っている。
 総事業費は約20億円で,市の補助額は6億 8,200万円である。なお,市の補助に対する国庫補助金の額は2億 2,700万円である。

【パセナカmisse】
 パセナカmisseの前身である旧仲見世は,JR福島駅から 600メートル離れた中心市街地の商店街に位置し,飲食街として栄えていたが,老朽化が著しいことに加え,大型商業施設の撤退などで人の流れが駅前に移ったことにより,利用者が減少したため全ての店舗が閉店した。
 商店街の店舗が相次いで閉店し,市民の消費購買意欲が極端に低下していた中,福島市は,中心市街地の活性化を図るため,地元不動産会社に働きかけ,旧仲見世を商店街の核となる商業施設「パセナカmisse」として建てかえた。なお,土地と建物は全て地元不動産会社が前所有者から買い取った。
 解体及び建設の総事業費は約4億円で,福島市が国土交通省の暮らし・にぎわい再生事業補助金を活用して約 2,800万円の補助を行ったほか,経済産業省の戦略補助を活用し,約1億 9,800万円の支援を受けている。
 また,商業テナントだけでなく,託児所や地域交流スペース,多目的広場といった公共スペースを整備したことで新たな集客を生み,中心市街地のにぎわい拠点として商店街来訪者の増加が図られている。

(2)質疑応答

 空きビルの再整備に係る市の方針や施設の概要のほか,テナント選定に市がどのように関与したのかといった質疑や,リニューアル後の来館者の状況,周辺地域への影響,公的支援の概要等に係る質疑を行った。
 また,MAXふくしまについては,現地でアオウゼの利用状況を確認した。

(3)呉市での展開の可能性

 MAXふくしまは,そごう跡地の整備について,パセナカmisseは,中心市街地である中通の活性化について参考となる取り組みであった。空きビル再生後,存続させるのは事業者であり,あくまでも行政は支援する立場であるという姿勢を,呉市でも持っておく必要がある。
また,両施設とも,市民が利用できる交流スペースを整備したことで,確実に来館者が増加している。例えば,中通に新たな施設がオープンする際,まちづくりセンターのような機能を持つ施設を整備することで,新たな人の流れが生まれる可能性がある。公共施設と民間施設の複合は,相乗効果を生む可能性が期待できるため,呉市においても研究を進めてはどうか。
 そのほか特に注目したのは,多様な国庫補助メニューを活用している点である。
 呉市においても,国庫補助を有効活用するためしっかりと研究し,さまざまな事業について,部局を超えて横断的に取り組む必要がある。